2年半程前の2023年3月、日経新聞の「私見卓見」に投稿したものの採用されなかったので、備忘録としてBlogにアップしておこう。
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「キープスキリング」のススメ_230311
昨今、「リスキリング(学び直し)」というワードが盛んだ。日本においては、小中高大と学んだあとは、社会人として働き始める。「学ぶ」と「働く」は同時ではなく、「学び」が終わると、後は一生懸命「働く」という考え方が一般的である。あるいは、就職や昇格に有利になるように、資格取得を目指して学習する人も多い。しかしながら、やはりそれは「学び」の結果で「働く」場所が獲得できたり、出世・昇進ができる、という意味でやはり同時ではない。
とあるTV番組で、照明器具の金属製の傘を手作業で綺麗に曲げていく技術が紹介されていた。見事な職人技でとても手作業とは思えない出来栄えで合った。この道のベテランの職人に「何年くらいで一人前になれるんですか?」と聞いたら、「いまだに一人前になったとは思っていない。まだまだ学ぶことがある。」と即答していた。これぞ、学びの本質ではないか。「一人前」と思った瞬間に学びが止まり、一人前ではなくなる。学びに終わりはない、ということだ。
「ピーターの法則」とは、実力社会において人は能力の限界に達するまで出世するので、やがて組織の上層部は無能な人で占められ、下層部のまだ能力発揮余地のある人によって会社がなりたつ、というものだ。この法則の本質的な原因は、ある程度出世するとそこで満足してしまい、自分が「一人前」と慢心して「学び」を忘れてしまうからだと思う。日本の企業は長らく年功序列制度を引きづっているため、一度出世してしまうと、なかなか降格をさせづらいとう組織的な問題もあり、これこそが、日本の生産性向上停滞の真因だと思っている。果たしてこの法則、一体どれくらいの人が知っているだろうか?学びを止めてしまった無能なおじさん達から見れば、あまり知られたくない法則であろう。
「生産性向上のために、リスキリングを」とバカの一つ覚えのように叫ばれているが、本当に生産性向上をめざすなら、リスキリング(学び直し)ではなく、キープスキリング(学び続ける)である。何を学んだらいいか分からない、と焦っている若者もいるという。簡単である。とにかく沢山の本を読むこと、これに尽きる。社会人になると、いろいろな壁にぶち当たり、悩み苦しむ事が多くなる。そういうときは、その問題に関する本を探して読んでほしい。人間が悩む事は先人も同様に悩んでいて、先人が見事に解決している。巨人の肩に乗ろう。読書の習慣は一度身に着けると、一生続く財産となる。まさに「キープスキリング」である。












